年頭のあいさつ
北海道細胞検査士会 会長 藤岡 学
新年明けましておめでとうございます。
皆様におかれましては、期待と希望に満ち溢れた新年をお迎えのことと心からお慶び申し上げます。会員の皆様におかれましては、日頃から皆様のご理解とご協力によりスムーズな北海道細胞検査士会運営に微力ながら尽くすことが出来ましたことを深く心から感謝申し上げます。
2024年は、元旦に発生した能登半島地震に始まり9月には豪雨による被災と日本中の度重なる自然災害の報道が連日のように流れていたような気がします。そんな中、ドジャースの大谷翔平の50-50達成とワールドシーリーズ制覇までの報道が連日続きました。北海道細胞検査士会の活動も、好評を得ております「わかばセミナー」から始まりました。講師には、細胞検査士会 副会長 国立がん研究センター中央病院の澁木康雄技師に呼吸器を中心とした内容で講演をいただきました。2024年の最大のイベントは、第88回細胞検査士ワークショップの札幌開催で、実施委員長を拝命し、どの様に準備を進めていいかわからないなか歴代の実施委員長経験者の皆様に相談しながら実施委員の皆様と無事開催にこぎつけることが出来ました。鏡検実習は定員割れをしましたが、優秀な鏡検実習担当講師と日本を代表する著名な先生による講義のおかげで、参加者の皆様には勉強になったとお声をいただき安堵しております。2024年度の行事も残すところ2025年2月15日の「わかばセミナー」と細胞診従事者講習会・総会となりました。今年のわかばセミナーは細胞検査士会 学術委員長 福岡大学病院の松本慎二技師の講師で「中皮腫診断における体腔液細胞診の役割と進化~鑑別に有用な免疫細胞マーカーの特性とPitfall~」の内容で講演していただきますので、細胞検査士をめざす検査技師の皆様はじめ細胞検査士になりたての皆様、学生の皆様、私も含め中皮腫の鑑別にお悩みの皆様、経験年数問わず参加していただきたいと存じます。細胞診従事者講習会・総会は尿細胞診を中心としたプログラムとなっております。総会では、2025~2026年度の役員改選の時期となり次期会長が決定しますので、是非多くの皆様の参加をお願い致します。また2025年の北海道臨床細胞学会総会および学術集会は、日本医療大学の徳永祐一技師を学会長として、初の細胞検査士が学会長として開催されます。多くの会員の皆様に参加していただき学術集会を盛り上げて頂きたいと存じます。
細胞検査士会としては、IAC認定試験がデジタル試験となることが決定し、細胞検査士認定試験の二次試験のあり方についてWGが立ち上がり検討されていきます。新しい子宮頸がん検診の指針の発表に伴い、細胞診の精度管理アドバイザー(子宮頸がん)資格認定細則が日本臨床細胞学会から示され、細胞検査士も認定資格を得られるようになりました。
細胞検査士認定試験に北海道からは、13名が合格されました。合格された皆様おめでとうございます。新たに細胞検査士になられた皆様には、北海道臨床細胞学会への入会申請と北海道細胞検査士会のメーリングリストへの登録をお願い致します。
本年も役員一同、スムーズな会の運営と会員の皆様にとって充実した1年になりますよう活動して参りますので、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
第57回細胞検査士資格認定試験合格者 13名のお知らせ
『 合格おめでとうございます 』
神山 直人 滝川市立病院
山口 康平 札幌東徳洲会病院
野々川 茉佑 北海道中央労災病院
角 大伍 札幌医科大学附属病院
熊川 優介 留萌市立病院
高橋 利紀 市立室蘭総合病院
五十嵐 早紀 JR札幌病院
船橋 悠希 北海道医療センター
高畠 麻衣 釧路労災病院
高久 諒介 札幌総合病理研究所
里村 真帆 旭川医科大学病院
向井 茉莉 北海道対がん協会札幌がん検診センター
佐々木 景子 函館五稜郭病院 (順不同 敬称 略)
合格者からの一言
『認定試験を終えて』 札幌東徳洲会病院 山口 康平
病理検査には新卒からずっと携わってきましたが細胞検査士の試験は今年で二回目の試験でした。自分の中で筆記試験というものが学生時代から苦手意識があり昨年も一次試験で不合格でした。昨年の試験終了後から毎日コツコツ勉強し続けなんとか突破することができました。家では家事と育児を任せっきりにしてしまいましたが、細胞検査士の先輩でもある妻にはとても感謝しています。また、忙しい中ご指導いただきました皆様にも心より感謝申し上げます。細胞検査士としての スタートラインに立ったばかりですので、早く一人前になれるよう日々努力していきたいです。今後ともよろしくお願いいたします。
『認定試験を終えて』 留萌市立病院 熊川 優介
私は細胞検査士資格認定試験に合格するのに時間が掛かりました。1度目は数年前に受験し、2度目が去年、3度目の今年でようやく合格しました。ここにくるまで、1度は諦めて違う部門をやっていたのですが諦めてしまった後悔があり、再度挑戦する機会を与えてくれた上司や同僚、家族に感謝しています。今回一次・二次試験を突破出来たのは、子育てが大変な中でも勉強する時間や勉強会に参加させてくれた家族、1年前から勤務後に鏡検の基礎からご指導して下さった先輩スクリーナーのおかげです。また、他施設から沢山の標本を貸していただき特殊な症例まで鏡検でき勉強になりました。私の検査技師になった時の目標が叶い、正直信じられない気持ちが大きいのと同時に責任ある仕事をより一層しないといけないと思いました。細胞検査士としてスタートラインに立ったばかりなので、日々症例と向き合いスクリーナーとして向上していきたいと思います。
『認定試験を終えて』 札幌総合病理研究所 高久 諒介
長い間、試験勉強をしてきてようやく今年無事合格することができました。
昨年は2次試験で不合格になり、今年は2次試験からの挑戦でしたが、プレッシャーや不安を感じる毎日で、正直自分が合格できる実力が身についているかどうかもわからないままひたすら鏡検する苦しい時期を過ごしていました。そんな中でも、自施設はもちろん、他施設や検査士会の皆さま方の応援とご協力のおかげで合格することができました。1人では到底無理だったと思います。たくさんの人の支えがあったからこそここまで来ることができました。本当にありがとうございました。これからは、皆さま方のように活躍できるように、日々、知識と経験を積んで頑張っていきたいと思っております。今後とも宜しくお願い致します。
『認定試験を終えて』 北海道中央労災病院 野々川 茉佑
初めての受験で右も左もわからないなか、力を貸してくださった皆様のお陰でここまで辿り着くことができました。的外れな質問をしても根気強く説明してくださったり、多くの症例に触れるため他施設での鏡検の機会をいただいたり、休日や時間外にも関わらず時間を割いてくださったり…挙げていけばきりがないほどたくさんのお力添えをいただくことができ、他者の存在の大きさ、そしてありがたさを実感する日々でした。本当にありがとうございました。この合格をスタートラインとし、細胞検査士として成長し続けられるよう努力したいと思います。検査士会の先輩の皆様、これから勉強会や学会などでお世話になる機会があるかと存じますが、どうぞよろしくお願いいたします。
『認定試験を振り返って』 市立室蘭総合病院 高橋 利紀
昨年、細胞検査士の有資格者が退職したこともあり、今年こそは絶対に合格しなければならないとプレッシャーを感じながらの受験でした。そして、前回の結果発表から今回の受験までの期間、土日や祝日も病理検査室に通いつめることで、何とか合格することができました。細胞の見方について丁寧に教えてくれた先輩や、鏡検時間を確保できるように雑務等を引き受けてくれた後輩には、非常に感謝しています。これからは、ひとつひとつの症例に対して丁寧に向き合い、知識と技術の向上に努めていきたいと思います。
『認定試験を終えて』 北海道医療センター 船橋 悠希
2023年5月から本格的な受験勉強を始め、1度目の受験では1次試験に合格し2次試験の雰囲気を体験しました。2024年は1年間じっくり標本を鏡検し、2度目の受験で合格を果たすことができました。北海道がんセンターから基礎的な症例から希少例まで、様々な標本を貸出していただき、2次試験対策として道外のセミナーにも複数回出席させていただきました。身の回りの環境に大変恵まれていたなと感じます。日々ご指導してくださった自施設の皆様、並びにお世話になった他施設の皆様に心より感謝申し上げます。細胞検査士として一人前になれるようにより一層努力してまいりますので、今後とも何卒よろしくお願いいたします。
『認定試験を終えて』 札幌医科大学附属病院 角 大伍
私は病理部に配属されてから、細胞検査士を取得することを一番の目標にしてきました。本格的な勉強を始めたのは遅かったと思いますが、自施設・他施設の皆さんがとても親身になって協力してくださり、無事試験に合格することができました。自分の力だけでは合格に及ばなかったと思います。今回の試験にあたって、貴重な時間を使ってご指導してくださいました皆さんに心から感謝を申し上げます。まだまだ未熟ですが、新たな経験や勉強を積み、成長していきたいと考えています。今後とも何卒宜しくお願い致します。
『認定試験を終えて』 JR札幌病院 五十嵐早紀
私は一次も二次もなかなか受からず苦戦しました。その間に転職し、病理を離れて生理検査室配属になりました。職場の方々に協力して頂いていたのですが、それでも両方を並行するのは容易ではありませんでした。2022年に二次2連続不合格で、もう諦めようとも思ったこともありましたが、2024年の試験突破に向け2年計画で準備を積み重ねて今回一次からの合格に至りました。何度も受験しているが故に不安やプレッシャーで自分を見失いそうになることもありましたが、自施設だけでなく他施設の多くの皆さまに支えて頂けたのでやり遂げることができました。お世話になった皆さまに心から感謝申し上げます。今はまだ細胞検査士としてのスタートラインに立ったばかりなので、早く一人前になれるようこれからも努力を重ねていきたいと思います。
『認定試験を終えて』 滝川市立病院 神山 直人
今回、昨年に続き二度目の受験で無事に合格することができました。自分にとってはまず一次試験の勉強が大変でした。働きながら勉強時間を確保するのにも苦労しましたし、学生の頃よりも頭の吸収力や記憶力が落ちているのを痛感させられました。それでも昨年、周囲に「すいません、一次で落ちました」と報告した時の悔しさをバネになんとか頑張ることができました。また、道外での試験は受験料に加え交通費、宿泊費が嵩みがちです。これ以上の出費は繰り返したくないという思いもモチベーションとなりました。二次試験前には模擬試験会に参加したり他施設で標本を見せていただき、皆様からのアドバイスもあって力をつけることができました。今回の結果は周囲の方々の支えがあったからこそです。お忙しい中ご指導くださった皆様には、心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました。今後も努力と経験を積み、力を伸ばしていきたいです。
細胞検査士資格認定試験対策 ~1次&2次 報告~
今川学術委員長を筆頭とした北海道細胞検査士会の学術委員が中心となり、1次試験対策としてスライド投影方式の細胞像判定と、昨年に続き村田優菜技師より養成課程で学んだ試験の傾向や対策方法についてミニレクチャー方式を行っていただきました。また、2次試験対策としては、昨年の試験で1発合格された岩田千夏技師より実体験を踏まえた勉強方法等合格する為のポイントをレクチャーしていただきました。更に、担当役員の施設から持ち寄った標本を使用し実際の試験に類似した形式で、スクリーニング問題と同定問題を実施させていただきました。今後も、一人でも多くの受験者が認定試験に合格し細胞検査士として活躍していただけるよう、このような試験対策を行っていきたいと考えていますので、ご協力の程宜しくお願い致します。
子宮の日LOVE49キャンペーン&検査deフェスティバル活動報告
20~30歳代の若い女性に急増中の子宮頸癌でありますが、定期検診を受けることで予防できる癌ですが、検診の受診率は低いのが現状です。少しでも検診の受診や子宮頸癌等に関心を持っていただくため、子宮の日(4月9日)を、LOVE49街頭アクションと題して、細胞検査士や病理医等の医療従事者が主体となり子宮頸がん検診啓発活動を全国で毎年実施しています。4月7日に札幌エルプラザでLOVE49キャンペーン(協力者16名)、9月16日に札幌駅地下歩行空間で検査deフェスティバル(協力者10名)の活動を実施しましたので報告致します。がん検診の必要性と受診率の向上、検査に従事している細胞検査士の存在を多くの皆様に知っていただけるようリーフレットと啓発活動グッズを市民の皆さんに配布しました。今後も啓発活動を継続していきたいと思いますので、引き続きご協力をお願い致します。
第88回細胞検査士ワークショップ開催報告
2024年9月21日(土曜日)札幌医科大学 臨床研究棟5階C502組織実習室で鏡検実習を開催しました。講義は、Webによる配信で実施しました。顕微鏡実習は久々の北海道での開催となり、北海道内をはじめ道外から多くの会員の皆様に参加していただき感謝致します。実際に顕微鏡の細胞像をみる研修会の開催が減少してきているのが現状ですが、講師の先生方が典型的な症例から貴重な希少症例等様々な細胞像を実際にまとめて鏡検できる大変貴重な研修会となっています。今回参加できなかった方は、年に数回日本各地持ち回りで開催されていますので、是非参加していただき色々な症例を経験していただければ幸いです。
第44回北海道臨床細胞学会総会並びに学術集会報告
2024年12月1日(日曜日)札幌医科大学 臨床大講堂にて現地開催されました。 一般演題は、10演題の症例や検討が報告されました。シンポジウムでは、昨年度指針が改訂された子宮がん検診について5名の演者の先生が、それぞれの立場で問題点や自施設での取り組み等を発表されていました。臓器横断シンポジウムでは、婦人科・乳腺・その他の3領域より出題され、昨年と同様にWSIで症例提示を事前に実施し、多くの方に投票をしていただきました。当日は、提示された細胞像から参加者が細胞所見を読み、症例提示者が臨床所見・観察ポイントを含めた詳細な解説を行っていただき大変有益な学術集会でした。
学会見聞録
『第63回日本臨床細胞学会秋期大会に参加して』
JA北海道厚生連 帯広厚生病院 臨床検査技術科 佐藤 佑香
令和6年11月16日~17日、千葉県の幕張メッセにて第63回日本臨床細胞学会秋期大会が開催されました。羽田空港から高速バスで揺られること1時間半、広大な敷地に現代的な建物が現れ、その建物が幕張メッセであることに衝撃を受けました。
今回、学会発表(示説発表)をしようと考えた理由は、日常業務では学ぶことができないことを経験し、細胞検査士としてレベルアップしたいと思ったからです。私が細胞検査士の資格を取得してから約3年が経過し、日々の鏡検から学ぶことも多いですが、まだまだ知識が未熟であり、考え方の幅を広げたいと思い参加させていただきました。学会発表は初めてで、緊張しマイクを持つ手を震わせながらの発表でしたが、座長をしてくださった先生のお陰で何とか無事に終えることができました。同年代の方の発表を拝聴し、研究熱心さに感銘を受けました。それと同時に私の未熟さを痛感し、悔しさも覚えました。
今回学んだことと、感じたことを忘れず、日々精進したいと思います。
2024年度 北海道細胞検査士会 活動報告
◎ 総務関係
1) 公益活動 : LOVE49子宮の日キャンペーン活動 4月7日 札幌エルプラザ
協力者:16名
検査deフェスティバル 9月16日 札幌地下歩行空間 協力者:10名
2) 会報発行 : せるさいくる発行 2025年1月に発行(本号)
3) ホームページ事業 : 講習会等の情報発信及びホームページの適宜更新業務
◎ 学術関係
1) 第32回プレパラートサーベイ(甲状腺・リンパ節)の実施(現在回覧中)
2) 細胞検査士会模擬試験講習会① 10月13日札幌医科大学D101講義室 受講者:27名
細胞検査士会模擬試験講習会② 11月24日札幌医科大学組織学実習室 受講者:28名
今後の予定
【北海道】 わかばセミナー 2月15日(土曜日)札幌医科大学教育研究棟D101講義室
『中皮腫診断のおける体腔液細胞診の役割と進化』
細胞診従事者講習会 3月2日(日曜日) 札幌医科大学臨床大講堂
『第31回プレパラートサーベイ報告・尿細胞診スキルアップ塾』
【全国】
第66回日本臨床細胞学会総会春期大会 2025年6月27日~6月29日 東京都
第63回日本臨床細胞学会秋期大会 2025年11月29日~11月30日 広島県
第67回日本臨床細胞学会総会春期大会 2026年6月12日~6月14日(予定) 神奈川
第64回日本臨床細胞学会秋期大会 2026年11月22日~11月23日(予定) 千葉県
*講習会の詳細な内容や申し込み方法等は、北海道細胞検査士会ホームページ又はメーリングリストにて随時ご案内する予定です。
メーリングリストへの登録のお願い
会員への情報伝達手段の一つとしてメーリングリストを開設し、北海道臨床細胞学会や北海道細胞検 査士会からの情報配信に利用しています。未登録の方々はご参加をお願い致します。
メーリングリストへ登録をして頂ける方は、
1)メーリングリスト管理者(徳永 y1tokuna@d9.dion.ne.jp)までメールを送って下さい。 【件名】は「メーリングリスト参加」として下さい。 【本文】には、所属地区、施設名、お名前を記載し送って下さい。
2)管理者が登録をしましたら、“登録完了メール”が配信されます
編集後記
昨年は、大谷選手を始めとしたメジャーリーグは大盛り上がりでした。今年も、3月にメジャーリーグの開幕戦が日本で行われます。残念ながらチケットはないので、テレビ観戦で楽しみたいと思っています。昨年から久々のインフルエンザの大流行が続いています。体調管理にはくれぐれも皆様お気をつけ下さい。細胞検査士会の事業は、昨年より対面主体での開催となっております。交通費の値上がりや病院からの出張等の費用が抑制され始めてきている状況ですが、会員同士の交流は重要だと思いますので、引き続き現地開催での参加及びご協力の程宜しくお願い致します。また、研修会等の情報を積極的にホームページやメーリングリストを活用し、会員の皆様に随時お伝えできればと思っております。皆様のご支援と、会の活動にご協力をお願い致します。 (総務 椎名)